地下鉄の値上げを引き金に起こっている今回の大規模な抗議活動ですが、Ana Tijouxというチリ系フランス人女性シンガーが新しいショートソングを披露しました。これからフルバージョンを作るみたいですが、先行してショートバージョンのリリックをご紹介します。
Ana Tijouxとは一体何者なんでしょうか?

本名:Anamaría Tijoux Merino
チリ人の両親を持つフランス生まれのラテンポップやラップ系のミュージシャンで、1990年代後半にヒップホップグループMakizaの女性ラッパーとしてラテンアメリカで賞を受賞しています。主に社会や文化についての意見を音楽で表しています。女性の権利主張や性暴力反対を支持し、2014年にはVengoというタイトルのアルバムをリリース。南米やヨーロッパ、アメリカの各地で活動をしており、南米の主要なMCとして認識されており、ラテン・グラミー賞でも何度かノミネートされています。
音源販売サイト:https://anatijoux.bandcamp.com/
その気になるカセロラソという曲はYouTubeで聴くことができます。
En doscientos metros, gire a la derecha y corre, conchetumare, que vienen los paco’!
Cacerolazo! Cacerolazo! Cacerolazo! Cace, cace, cacerolazo!
Cacerolazo! Cacerolazo! Cace, cace, cace!
Quema, despierta, Renuncia, Piñera, Por la Alameda, nuestra e’ La Moneda
Cuchara de palo frente a tus balazo’ Y al toque de queda? Cacelorazo!
No son treinta peso’, son treinta año’ La constitución, y los perdonazo’
Con puño y cuchara frente al aparato Y a todo el Estado, cacerolazo!
Escucha, vecino, aumenta la bencina Y la barricada? Dale gasolina!
Con tapa, con olla, frente a los payaso’ Llegó la revuelta, y el cacerolazo!
Cacerolazo! Cacerolazo! Cacerolazo! Cace, cace, cacerolazo!
Cacerolazo! Cacerolazo! Cace, cace, cace!
Camilo Catrillanca (cace!)
Macarena Valdé’ (cace!)
No má’ AFP (cace!)
Aguante, estudiantes! (cace!)
Cacerolazo! Cacerolazo! Cacerolazo! Cace, cace, cace!
Cacerolazoの歌詞(日本語訳)
Wazeという地図アプリのナビゲーションから始まる歌詞で現在の社会を表しています。カセロラソというのは、先日の単語紹介記事にも掲載しておりますが、鍋を叩いての抗議活動という意味になります。
200m先、右に曲がってください…くそ、警察が来るぞ!
カセロラソ!カセロラソ!カセロラソ!カセ、カセ、カセロラソ!
カセロラソ!カセロラソ!カセ、カセ、カセ!
燃え上がれ、目覚めろ、ピニェラやめてしまえ!
アラメダ通りを通ってラ・モネダ(大統領府)
お前らのピストルに対し、こっちは無防備
夜間外出禁止令が出た時に、カセロラソ!
30ペソの問題じゃなくて、30年間の不満
政治家や大企業には甘いチリの憲法
ポリ公の武器に対して国民は拳と食器
全ての政府に対して、カセロラソ!
隣人よ聴いてくれ、ガソリンを増やせ
バリケード?やったれ、ガソリンや!
鍋とフタで政治家に立ち向かう
反乱の時が来た、カセロラソ!
カセロラソ!カセロラソ!カセロラソ!カセ、カセ、カセロラソ!
カセロラソ!カセロラソ!カセ、カセ、カセ!
カミーロ・カトリジャンカ*1(カセ!)
マカレーナ・ヴァルデ*2(カセ!)
AFPはもう要らない(カセ!)
学生たち、耐えよう!(カセ!)
カセロラソ!カセロラソ!カセ、カセ、カセ!
*1. 2018年11月に警察の発砲により死亡したマプチェ族の男性。
*2. 2016年8月に自殺をした環境保護の女性活動家。他殺の疑いがかけられている。
こういった社会現象を音楽にするアーティストって、これから先にずっと残っていくものなので嫌いではありません。警察と軍隊の投入によって収拾のつかなかった暴徒はサンティアゴ内では収まりつつあります。後はやり過ぎというイメージだけが残らないようにしてもらえてたらと思っています。
人権の侵害だということでSNSを通じて世界に発信しています。これからチリがどのように見られるのかが気になるところですね!