『チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)』からワインに関する報告書(2022年12月)が発行されました。
この報告書では今年11月までの「チリワインの輸出状況」について、分析された結果が公表されています。
全体的に輸出量も輸出額も前年同期比で【1%弱】、減っています。
11月単体で見てみると、日本向けの輸出量が目立っていますね。
2022年11月までのチリワイン輸出状況
2022年1〜11月までの輸出に関しては、以下のような状況となっております。
- 総輸出量:774,450,000 リットル(前年同期比:▲0.8%)
- 総輸出額:1,767,200,000 ドル(前年同期比:▲0.4%)
全部で6つのカテゴリーがありますが、原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)やバルクワイン、スパークリングワインの3つのカテゴリーの内訳は以下となります。
原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)
- D.O. 輸出量:412,500,000 リットル(前年同期比:+1.7%)
- D.O. 輸出額:1,356,000,000 ドル(前年同期比:+0.8%)
バルクワイン
- 輸出量:304,200,000 リットル(前年同期比:▲4.1%)
- 輸出額:278,200,000 ドル(前年同期比:1.6%)
スパークリングワイン
- 輸出量:3,600,000 リットル(前年同期比:13.8%)
- 輸出額:13,100,000 ドル(前年同期比:9.8%)
価格帯別の輸出量&輸出額
原産地呼称(D.O.)ワイン
2021年の「D.O. ワイン輸出」に関して、1ケースあたり* の価格帯別の情報が出ていたのでご参考までに。輸出総額が一番大きい価格帯は「20ドル以上30ドル未満」のワインで、全体の【33%】を占めています。
*1ケース:9リットル(750mlのボトルが12本)
20ドル未満:
- 輸出量:13,800,000 ケース
- 輸出額:234,600,000 ドル
20ドル以上30ドル未満:
- 輸出量:21,100,000 ケース
- 輸出額:501,900,000 ドル
30ドル以上40ドル未満:
- 輸出量:7,600,000 ケース
- 輸出額:263,200,000 ドル
40ドル以上60ドル未満:
- 輸出量:4,900,000 ケース
- 輸出額:226,900,000 ドル
60ドル以上100ドル未満:
- 輸出量:1,800,000 ケース
- 輸出額:134,800,000 ドル
100ドル以上:
- 輸出量:600,000 ケース
- 輸出額:142,400,000 ドル
バルクワイン
「バルクワインの価格帯」については以下の通りとなります。輸出総額が一番大きい価格帯は「1リットルあたり0.8ドル未満」のワインで、全体の【43%】を占めています。
1リットルあたり0.8ドル未満 :
- 輸出量:197,300,000 リットル
- 輸出額:131.600.000 ドル
0.8ドル以上1ドル未満:
- 輸出量:99,500,000 リットル
- 輸出額:86.400.000 ドル
1ドル以上1.5ドル未満:
- 輸出量:32,200,000 リットル
- 輸出額:37.900.000 ドル
1.5ドル以上3ドル未満:
- 輸出量:21,000,000 リットル
- 輸出額:40.600.000 ドル
3ドル以上10ドル未満:
- 輸出量:3,000,000 リットル
- 輸出額:12.200.000 ドル
10ドル以上:
- 輸出量:実績なし
- 輸出額:実績なし
ブドウの品種別
「ブドウの品種ごと」の輸出量や輸出額を確認してみました。
2022年1月から11月までで最も「輸出量」の多い単一品種トップ5は以下となります。【カベルネ・ソーヴィニヨン】がダントツで多いです。
( )内は「11月単体」の数字となります。
- カベルネ・ソーヴィニヨン:82,345,000 リットル(7,074,000 リットル)
- ソービニヨン・ブラン:39,699,000 リットル(3,239,000 リットル)
- シャルドネ:34,963,000 リットル(3,655,000 リットル)
- メルロー:30,912,000リットル(2,609,000 リットル)
- カルメネール:27,770,000リットル(2,289,000 リットル)
前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。
増加
- シュナン・ブラン:+157.4%
- カベルネ・フラン:+25.2%
- リースリング+ヴィオニエ:+18.6%
減少
- シラー:▲10.8%
- マルベック:▲10.1%
2022年1月から11月までで最も「輸出額(FOB)」の多い単一品種トップ5は以下となります。輸出量と異なり、メルローとカルメネールの順位が前後しています。
( )内は「11月単体」の数字となります。
- カベルネ・ソーヴィニヨン:287,927,000 ドル(24,711,000 ドル)
- ソービニヨン・ブラン:113,697,000 ドル(9,035,000 ドル)
- シャルドネ:106,949,000 ドル(10,167,000 ドル)
- カルメネール:95,491,000ドル(7,961,000 ドル)
- メルロー:84,698,000ドル(6,497,000 ドル)
前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。
増加
- シュナン・ブラン:+141.1%
- ペドロ・ヒメネス:39.8%
- カベルネ・フラン:+33.2%
減少
- マルベック:▲14.8%
- シラー:▲11.8%
- ピノ・ブラン:▲6.3%
輸出先別
次に「輸出先別」にみた輸出量や輸出額の情報となります。
D.O. ワイン、バルクワイン、スパークリングワインの順です。
2022年1月から11月までで、「D.O. ワイン」の輸出量が多い国のランキングです。
( )内は「11月単体」の数字となります。
- ブラジル:62,099,000 リットル(4,955,000 リットル)
- 中国:54,587,000 リットル(4,836,000 リットル)
- イギリス:42,090,000 リットル(1,982,000 リットル)
- 日本:38,897,000 リットル(5,289,000 リットル)
- アメリカ:25,266,000 リットル(2,331,000 リットル)
増加
- メキシコ:+37.2%
- アイルランド:+27.3%
- カナダ:+7.7%
減少
- 韓国:▲28.7%
- アメリカ:▲12.2%
- イギリス:▲11.5%
2022年1月から11月までで、「D.O. ワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。
( )内は「11月単体」の数字となります。
- 中国:211,795,000 ドル(19,681,000 ドル)
- ブラジル:167,506,000 ドル(14,742,000 ドル)
- イギリス:123,128,000 ドル(5,558,000 ドル)
- 日本:108,429,000 ドル(14,667,000 ドル)
- アメリカ:100,947,000 ドル(9,115,000 ドル)
増加
- メキシコ:+41%
- アイルランド:+8%
- 日本:+8%
減少
- 韓国:▲19%
- イギリス:▲17%
- オランダ:▲7%
2022年1月から11月までで、「バルクワイン」の輸出量が多い国のランキングです。【メキシコ】への輸出が伸びているのが顕著ですね。
( )内は「11月単体」の数字となります。
- アメリカ:78,047,000 リットル(4,587,000 リットル)
- 中国:67,240,000 リットル(4,864,000 リットル)
- イギリス:63,772,000 リットル(2,582,000 リットル)
- ドイツ:21,438,000 リットル(2,328,000 リットル)
- 日本:17,532,000 リットル(2,233,000 リットル)
増加
- メキシコ:+302%
- フランス:+31%
- 中国:+31%
減少
- カナダ:▲38%
- スペイン:▲36%
- アメリカ:▲33%
2022年1月から11月までで「バルクワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。アメリカがイギリスを抜き「1位」となっております。
( )内は「11月単体」の数字となります。
- アメリカ:67,100,000 ドル(3,669,000 ドル)
- イギリス:66,687,000 ドル(3,117,000 ドル)
- 中国:65,624,000 ドル(4,277,000 ドル)
- ドイツ:17,995,000 ドル(1,904,000 ドル)
- 日本:13,957,000 ドル(1,816,000 ドル)
増加
- メキシコ:+427%
- フランス:+42%
- 中国:+32%
減少
- カナダ:▲29%
- アメリカ:▲26%
- スペイン:▲21%
2022年1月から11月時点で「スパークリング」の輸出量が多い国のランキングです。【日本】がダントツだという事実を知りませんでした。同地域である南米諸国の成長が著しいですね。
- 日本:1,399,000 リットル(157,000 リットル)
- コロンビア:533,000 リットル(11,000 リットル)
- ブラジル:431,000 リットル(33,000 リットル)
- 韓国:159,000 リットル(27,000 リットル)
- コスタリカ:131,000 リットル(15,000 リットル)
増加
- ブラジル:+155%
- コスタリカ:+103%
- コロンビア:+86%
減少
- ナイジェリア:▲97%
- スイス:▲65%
- 韓国:▲51%
2022年1月から11月時点での、「スパークリング」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。
- 日本:5,915,000 ドル(635,000 ドル)
- コロンビア:1,998,000 ドル(60,000 ドル)
- ブラジル:1,193,000 ドル(106,000 ドル)
- 韓国:713,000 ドル(123,000 ドル)
- コスタリカ:451,000 ドル(59,000 ドル)
増加
- ブラジル:+148%
- コスタリカ:+90%
- コロンビア:+84%
減少
- ナイジェリア:▲95%
- スイス:▲69%
- 韓国:▲47%
品種別生産量
最後に品種別の「生産量」です。
- カベルネ・ソーヴィニヨン:340,922,000リットル
- ソービニヨン・ブラン:141,061,000リットル
- メルロー:123,223,000リットル
- シャルドネ:104,103,000リットル
- カルメネール:88,431,000リットル
- シラー:61,230,000リットル
- ペドロ・ヒメネス:31,495,000リットル
- ピノ・ノワール:26,947,000リットル
- マルベック:25,691,000リットル
- パイス:15,947,000リットル
- モスカテル:11,990,000リットル
最後に
これまでは「ただ単に飲んでいた」ワイン。このような当局の報告書には一度も目を通したことがありませんでした。データを見てみると「意外な発見」があるので面白かったので、今回アップデートしてみました。一月の単体では分からない動きがありますね。
これまでに飲んだチリワインをインスタにアップしています。その写真を見ていただくだけでも、「バリエーションの豊富さ」に気づいていただけると思います。ぜひチェックしてみてください。