チリワイン

チリ農業省農業政策・調査局『ODEPA』ワイン報告書(2022年11月)

『チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)』からワインに関する報告書(2022年11月)が発行されました。

この報告書では今年10月までの「チリワインの輸出状況」について、分析された結果が公表されています。

全体的に輸出量も輸出額も前年同期比で【1%】ほど増えています。

中でも気になったのが、「スパークリングワイン」の成長度合いです。

 

2022年10月までのチリワイン輸出状況

2022年1〜10月までの輸出に関しては、以下のような状況となっております。

  • 総輸出量:712,700,000 リットル(前年同期比:+1.1%)
  • 総輸出額:1,622,000,000 ドル(前年同期比:+1.2%)

 

全部で6つのカテゴリーがありますが、原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)やバルクワイン、スパークリングワインの3つのカテゴリーの内訳は以下となります。

 

原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)

  • D.O. 輸出量:377,400,000 リットル(前年同期比:+3.9%)
  • D.O. 輸出額:1,240,800,000 ドル(前年同期比:+0.7%)

バルクワイン

  • 輸出量:282,000,000 リットル(前年同期比:▲2.9%)
  • 輸出額:262,600,000 ドル(前年同期比:3.1%)

スパークリングワイン

  • 輸出量:3,300,000 リットル(前年同期比:14.1%)
  • 輸出額:12,900,000 ドル(前年同期比:10.8%)

 

価格帯別の輸出量&輸出額

原産地呼称(D.O.)ワイン

2021年の「D.O. ワイン輸出」に関して、1ケースあたり* の価格帯別の情報が出ていたのでご参考までに。輸出総額が一番大きい価格帯は「20ドル以上30ドル未満」のワインで、全体の【33%】を占めています。

*1ケース:9リットル(750mlのボトルが12本)

 

ODEPA:Boletín del Vino 2022.11

 

 

20ドル未満:

  • 輸出量:13,800,000 ケース
  • 輸出額:234,600,000 ドル

20ドル以上30ドル未満:

  • 輸出量:21,100,000 ケース
  • 輸出額:501,900,000 ドル

30ドル以上40ドル未満:

  • 輸出量:7,600,000 ケース
  • 輸出額:263,200,000 ドル

40ドル以上60ドル未満:

  • 輸出量:4,900,000 ケース
  • 輸出額:226,900,000 ドル

60ドル以上100ドル未満:

  • 輸出量:1,800,000 ケース
  • 輸出額:134,800,000 ドル

100ドル以上:

  • 輸出量:600,000 ケース
  • 輸出額:142,400,000 ドル

 

バルクワイン

「バルクワインの価格帯」については以下の通りとなります。輸出総額が一番大きい価格帯は「1リットルあたり0.8ドル未満」のワインで、全体の【43%】を占めています。

ODEPA:Boletín del Vino 2022.11

 

1リットルあたり0.8ドル未満:

  • 輸出量:197,300,000リットル
  • 輸出額:131.600.000ドル

0.8ドル以上1ドル未満:

  • 輸出量:99,500,000リットル
  • 輸出額:86.400.000ドル

1ドル以上1.5ドル未満:

  • 輸出量:32,200,000リットル
  • 輸出額:37.900.000ドル

1.5ドル以上3ドル未満:

  • 輸出量:21,000,000リットル
  • 輸出額:40.600.000ドル

3ドル以上10ドル未満:

  • 輸出量:3,000,000リットル
  • 輸出額:12.200.000ドル

10ドル以上:

  • 輸出量:実績なし
  • 輸出額:実績なし

 

ブドウの品種別

「ブドウの品種ごと」の輸出量や輸出額を確認してみました。

2022年1月から10月までで最も「輸出量」の多い単一品種トップ5は以下となります。【カベルネ・ソーヴィニヨン】がダントツで多いです。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:75,271,000リットル
  2. ソービニヨン・ブラン:36,460,000リットル
  3. シャルドネ:31,308,000リットル
  4. メルロー:28,303,000リットル
  5. カルメネール:25,481,000リットル

 

前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。

増加

  1. シュナン・ブラン:+198.9%
  2. カベルネ・フラン:+31.9%
  3. リースリング+ヴィオニエ:+18.3%

減少

  1. ペドロ・ヒメネス:▲27.2%
  2. シラー:▲11.2%
  3. マルベック:▲6.7%

 

 

2022年1月から10月までで最も「輸出額(FOB)」の多い単一品種トップ5は以下となります。輸出量と異なり、メルローとカルメネールの順位が前後しています。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:263,216,000ドル
  2. ソービニヨン・ブラン:104,662,000ドル
  3. シャルドネ:96,782,000ドル
  4. カルメネール:87,530,000ドル
  5. メルロー:78,201,000ドル

 

前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。

増加

  1. シュナン・ブラン:+179.5%
  2. カベルネ・フラン:+40.8%
  3. ソービニヨン・ブラン:+12.7%

減少

  1. シラー:▲12.7%
  2. マルベック:▲11.3%
  3. ペドロ・ヒメネス:▲8.1%

 

輸出先別

次に「輸出先別」にみた輸出量や輸出額の情報となります。

D.O. ワイン、バルクワイン、スパークリングワインの順です。

 

2022年1月から10月までで、「D.O. ワイン」の輸出量が多い国のランキングです。

  1. ブラジル:57,144,000リットル
  2. 中国:49,751,000リットル
  3. イギリス:40,108,000リットル
  4. 日本:33,608,000リットル
  5. アメリカ:22,935,000リットル

増加

  1. メキシコ:+52.3%
  2. アイルランド:+34.2%
  3. カナダ:+14.2%

減少

  1. 韓国:▲30.7%
  2. 中国:▲6.2%
  3. イギリス:▲6.0%

 

2022年1月から10月までで、「D.O. ワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

  1. 中国:192,114,000ドル
  2. ブラジル:152,764,000ドル
  3. イギリス:117,570,000ドル
  4. 日本:93,762,000ドル
  5. アメリカ:91,832,000ドル

増加

  1. メキシコ:+56%
  2. アイルランド:+13%
  3. カナダ:+13%

減少

  1. 韓国:▲22%
  2. イギリス:▲12%
  3. オランダ:▲9%

 

2022年1月から10月までで、「バルクワイン」の輸出量が多い国のランキングです。【メキシコ】への輸出が伸びているのが顕著ですね。

  1. アメリカ:73,460,000リットル
  2. 中国:62,376,000リットル
  3. イギリス:61,190,000リットル
  4. ドイツ:19,110,000リットル
  5. 日本:15,299,000リットル

増加

  1. メキシコ:+307%
  2. フランス:+31%
  3. 中国:+28%

減少

  1. カナダ:▲41%
  2. アメリカ:▲31%
  3. スペイン:▲24%

 

2022年1月から10月までで「バルクワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

  1. イギリス:63,570,000ドル
  2. アメリカ:63,431,000ドル
  3. 中国:61,347,000ドル
  4. ドイツ:16,091,000ドル
  5. 日本:12,141,000ドル

増加

  1. メキシコ:+439%
  2. フランス:+41%
  3. 中国:+29%

減少

  1. カナダ:▲33%
  2. アメリカ:▲24%
  3. デンマーク:▲17%

 

2022年1月から10月時点で「スパークリング」の輸出量が多い国のランキングです。【日本】がダントツだという事実を知りませんでした。同地域である南米諸国の成長が著しいですね。

  1. 日本:1,242,000リットル
  2. コロンビア:522,000リットル
  3. ブラジル:398,000リットル
  4. 韓国:132,000リットル
  5. コスタリカ:116,000リットル

増加

  1. コスタリカ:+175%
  2. ブラジル:+172%
  3. コロンビア:+105%

減少

  1. ナイジェリア:▲97%
  2. 韓国:▲59%
  3. スイス:▲31%

 

2022年1月から10月時点での、「スパークリング」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

  1. 日本:5,280,000ドル
  2. コロンビア:1,938,000ドル
  3. ブラジル:1,087,000ドル
  4. 韓国:590,000ドル
  5. コスタリカ:392,000ドル

増加

  1. ブラジル:+166%
  2. コスタリカ:+147%
  3. コロンビア:+99%

減少

  1. ナイジェリア:▲95%
  2. 韓国:▲56%
  3. スイス:▲41%

 

品種別生産量

最後に品種別の「生産量」です。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:340,922,000リットル
  2. ソービニヨン・ブラン:141,061,000リットル
  3. メルロー:123,223,000リットル
  4. シャルドネ:104,103,000リットル
  5. カルメネール:88,431,000リットル
  6. シラー:61,230,000リットル
  7. ペドロ・ヒメネス:31,495,000リットル
  8. ピノ・ノワール:26,947,000リットル
  9. マルベック:25,691,000リットル
  10. パイス:15,947,000リットル
  11. モスカテル:11,990,000リットル
ODEPA: Boletin del Vino 2022.11

 

最後に

これまでは「ただ単に飲んでいた」ワイン。このような当局の報告書には一度も目を通したことがありませんでした。データを見てみると「意外な発見」があるので面白いですね。今後、定期的に報告書を確認して、データをアップデートしていきたいと思います。

 

ワインボトルの輸出先として、「日本」が第4位にランクインしていますね。そのことを先日、ワイン生産者に伝えたところ、「そんなことはないだろ〜」なんて疑われてしまいました。それでも日本で見かけるチリワインってまだまだバリエーションが少ないと思います。きっと大きめのワインショップなどにはあるのだろうと思うのですが。

 

これまでに飲んだチリワインをインスタにアップしています。その写真を見ていただくだけでも、「バリエーションの豊富さ」に気づいていただけると思います。ぜひチェックしてみてください。

@moaiswine

 

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です