この記事では『チリワイン産地マップ』をご紹介します。
日本でもチリワインが大人気だと思います。でも「実はチリって国をあんまり知らない」という方が多いのではないでしょうか。ましてや「イタタ・ヴァレー」と言われて、「はいはい、あの辺りの地域ね」なんて想像できる人は少ないと思います。
せっかく高いお金を出してワインを買うなら「生産地や生産者のことを知りたい!」と思いますよね? でも実際のところ、チリワインの情報を入手できる情報源って少ないです。ちょっとチリワインのことを調べようとググってみたけど…あんまり理解できないという経験ありませんか。僕も数か月前まではちんぷんかんぷんでした。
ワインを飲んで分析する際に「産地の特徴」を知らないと具体的にイメージできないですよね。実際に学んでいくと、僕もチリのことがより好きになったし、チリワインへの愛情が一層湧いてきます。ぜひ一緒に学んでいきましょう!
チリワイン産地マップが更新されました。
大別して以下6つのリージョン(region)があります。
- アタカマ
- コキンボ
- アコンカグア
- セントラル
- サウス
- アウストラル
その6つの地域が、合計17個のサブリージョン(subregion)にわけられます。
そのうち、ブドウ栽培およびワイン造りが盛んなチリ中部の『セントラル・リージョン』『アコンカグア・リージョン』に該当するみサブリージョンのみ、さらに細かいゾーン(zona)が設定されています。
- Valle de Copiapó(コピアポ・ヴァレー)
- Valle de Huasco(ウアスコ・ヴァレー)
- Valle de Elqui(エルキ・ヴァレー)
- Valle de Limarí(リマリ・ヴァレー)
- Valle de Choapa(チョアパ・ヴァレー)
- Valle de Aconcagua(アコンカグア・ヴァレー)
- Valle de Casablanca(カサブランカ・ヴァレー)
- Valle de San Antonio(サンアントニオ・ヴァレー)
- Valle de Maipo(マイポ・ヴァレー)
- Valle de Rapel(ラペル・ヴァレー)
- Valle de Curicó(クリコ・ヴァレー)
- Valle de Maule(マウレ・ヴァレー)
- Valle de Itata(イタタ・ヴァレー)
- Valle de Bío Bío(ビオビオ・ヴァレー)
- Valle de Malleco(マジェコ・ヴァレー)
- Valle de Cautín(カウティン・ヴァレー)
- Valle de Osorno(オソルノ・ヴァレー)
Contents
- チリがワインの生産に適している理由
- チリの主要な産地
- Valle de Elqui(エルキ・ヴァレー)
- Valle de Limarí(リマリ・ヴァレー)
- Valle de Choapa(チョアパ・ヴァレー)
- Valle de Aconcagua(アコンカグア・ヴァレー)
- Valle de Casablanca(カサブランカ・ヴァレー)
- Valle de San Antonio(サンアントニオ・ヴァレー)
- Valle de Maipo(マイポ・ヴァレー)
- Valle de Cachapoal(カチャポアル・ヴァレー)
- Valle de Colchagua(コルチャグア・ヴァレー)
- Valle de Curicó(クリコ・ヴァレー)
- Valle de Maule(マウレ・ヴァレー)
- Valle de Itata(イタタ・ヴァレー)
- Valle de Bío Bío(ビオビオ・ヴァレー)
- Valle de Malleco(マジェコ・ヴァレー)
- ワイン用ブドウの作付面積
- 最後に
チリがワインの生産に適している理由
まずチリという国ですが、皆さんも一度は世界地図で見たことあると思います。そうです、南米にあるあの「縦に細長い国」がチリです。全長 4,300km もありながら、幅は 177km というスタイリッシュな形をしております。
サンティアゴを中心に「地中海性気候」の地域が多く、夏場は雨がほとんど降らず乾燥しております。こういった気候はブドウ栽培とワイン生産にとって「理想的」と言われております。
チリは「フィロキセラ」という害虫被害を受けなかった国です。理由は定かではないのですが、北部には「砂漠・土漠地帯」、東部は「アンデス山脈」、西部は「太平洋」、そして南部は「パタゴニア氷原」が広がる地形のため害虫の侵入を防いだのでは、と言われています。
チリはフィロキセラの影響を受けなかったため、ボルドーの「カルメネール」が再発見されました。以下の記事でチェック!
それでは次に主要な産地の情報を見ていきましょう!
(以降の記事は追って更新いたします!)
チリの主要な産地
Valle de Elqui(エルキ・ヴァレー)
エルキ川付近にあり、チリ最北の産地。コキンボ州(第4州)の「ラセレナ」という街の近く。農業と観光が盛んな地域。「ピスコ」というブドウの蒸留酒の生産で有名。高地の方に行くと冷え込むため、寒冷地に適した「シラー」の栽培も行われる。
- モスカテル
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- メルロー
- ジンファンデル
- カルメネール
- ピノ・ノワール
- カベルネ・ソーヴィニヨン
Valle de Limarí(リマリ・ヴァレー)
同じくコキンボ州(第4州)にある「オヴァジェ」という町の近く。この土地で栽培される「シャルドネ」は爽やかな酸味とミネラル感が特長的。フンボルト海流からもたらされる冷風で、冷涼な産地となる。また『カマンチャカ』と呼ばれる「海岸の霧」がブドウ畑を冷やす。夏の最高気温が25度以下と他のエリアよりも涼しい。この産地の土壌は岩がゴロゴロしており、方解石が含まれる部分もある。この産地も『ピスコ』の製造が行われている。
- シャルドネ
- シラー
- ピノ・ノワール
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- ソーヴィニヨン・ブラン
- カルメネール
Valle de Choapa(チョアパ・ヴァレー)
こちらも同じくコキンボ州(第4州)にある「イジャペル」という町の近く。岩が多い土地が特徴的。シラーの栽培に最適。完全に余談ですが、イジャペルは義父の生まれ故郷。
- モスカテル
- ペドロ・ヒメネス
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カベルネ・フラン
- シラー
Valle de Aconcagua(アコンカグア・ヴァレー)
こちらはバルパライソ州(第5州)の「キジョタ」や「サン・フェリペ」という町の近く。サンティアゴから車で1時間半の距離。最近では「ソーヴィニヨン・ブラン」の栽培が増加中。海から冷涼な風がもたらされるため、「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「シラー」などの栽培が盛ん。アコンカグア川は、「標高約 7,000 メートル」とアンデス山脈の中で最も標高の高い山にちなんで名付けられた。
- シラー
- カルメネール
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- シャルドネ
- ピノ・ノワール
- ソーヴィニヨン・ブラン
Valle de Casablanca(カサブランカ・ヴァレー)
こちらはバルパライソ州(第5州)の「カサブランカ」という小さな町の近くにあり、サンティアゴから車で1時間ちょっと。サンティアゴから港町の「バルパライソ」に向かう途中にあり、有名なワイナリーも豊富がゆえにツアー客が多い。太平洋からの冷涼な風と朝方の霧が特徴的。この産地の「シャルドネ」や「ピノ・ノワール」が人気。赤ワイン用の品種も栽培され始めている。
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- メルロー
- シラー
- ピノ・ノワール
- ゲヴュルツトラミネール
- ヴィオニエ
Valle de San Antonio(サンアントニオ・ヴァレー)
バルパライソ港に匹敵するくらい重要な港町のサンアントニオ。バルパライソから南に車で1時間半ほど。寒冷地向きのブドウの産地で、「ソーヴィニヨン・ブラン」などが多数。海岸沿いということで海風が冷たいのが特徴的で、ミネラル感のあるワインに仕上がる。
- ソーヴィニヨン・ブラン
- ピノ・ノワール
- シャルドネ
- シラー
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カルメネール
- メルロー
Valle de Maipo(マイポ・ヴァレー)
チリにおける伝統的なワインの産地のひとつ。首都のサンティアゴを中心とした広大な産地。サンティアゴ市内にもいくつかワイナリーがあるし、サンティアゴ郊外になるとその数は計り知れない。高級チリワインも多く輩出している。「カベルネ・ソーヴィニヨン」がダントツに栽培されている産地。チリの東西に渡るこの産地では、3つのエリア(コスタ、セントラル、アルト)に分類される。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
- シャルドネ
- シラー
- カルメネール
- ソーヴィニヨン・ブラン
- カベルネ・フラン
- マルベック
- プティ・ヴェルド
- セミヨン
Valle de Cachapoal(カチャポアル・ヴァレー)
サンティアゴよりやや南へ下った産地で、オヒギンス州(第6州)に位置する。銅鉱山もある「ランカグア」という地域にある。サンティアゴからランカグアまでは車で1時間ちょっと。この産地は海の影響がほとんどないことが特徴的。この産地にある「ペウモ」というエリアは、濃厚な赤ワインの産地として有名。特に「カルメネール」と「メルロー」が人気。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カルメネール
- メルロー
Valle de Colchagua(コルチャグア・ヴァレー)
この産地も同じくオヒギンス州(第6州)に位置する。「サンフェルナンド」という町に近い。サンティアゴからサンフェルナンドまでは車で1時間半ちょっと。この産地はカチャポアルと異なり、海の影響を受けるエリアもある。カチャポアル・ヴァレーとこのコルチャグア・ヴァレーで栽培されたブドウを使ったワインを『ラペル・ヴァレー』と称する。こちらの産地にもワイナリーがたくさんあり、ツアーも人気。この地域にある「アパルタ・ヴァレー」と呼ばれる特殊なテロワールでブドウが栽培されている。日当たりが良く、風通しも良いので、熟したフルボディのワインを造るためのブドウが採れる地域。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カルメネール
- メルロー
- シラー
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- マルベック
Valle de Curicó(クリコ・ヴァレー)
こちらの産地はマウレ州(第7州)の「クリコ」という町の近く。サンティアゴからクリコまで車で2時間半ほど。この産地も伝統的なワインの産地のひとつ。このエリアにもたくさんのワイナリーがある。「火山性」と「沖積性」という土壌が特徴的。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- ソーヴィニヨン・ブラン
- メルロー
- シャルドネ
- カルメネール
- シラー
- マルベック
- ゲヴュルツトラミネール
Valle de Maule(マウレ・ヴァレー)
こちらの産地もマウレ州(第7州)にあり、南北に広い産地。「タルカ」や「カウケネス」という町に近い。サンティアゴからタルカまで車で3時間弱。海に近いエリアもあれば、アンデス山脈に近いエリアもある。それにより土壌や気候に多様性が生まれ、さまざまな品種を生産できる。「パイス」や「カリニャン」という珍しい品種も栽培される産地。樹齢「70年」以上のカリニャンが見られる地域もある。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- シャルドネ
- パイス
- ソーヴィニヨン・ブラン
- メルロー
Valle de Itata(イタタ・ヴァレー)
こちらの産地はニュブレ州(第16州)の「チジャン」や「コンセプシオン」という町に近い産地。サンティアゴからチジャンまで車で4時間半ほど。16世紀半ばに「パイス」という品種のブドウが、この「コンセプシオン」の港から入ったと言われている。これまでに紹介してきた産地より降雨量が多いのが特徴的。湿度の高い地中海性気候で、他の産地に比べて気温が低く、四季がはっきりしている。土壌は砂質、花崗岩質でミネラルが豊富なため、生産性が高い。
- モスカテル・デ・アレハンドリア
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- パイス
- シャルドネ
- カルメネール
- メルロー
Valle de Bío Bío(ビオビオ・ヴァレー)
こちらの産地はビオビオ州(第8州)に位置しており、チリ最南端にある産地のひとつ。「ロサンゼルス」という町に近く、サンティアゴから車で5時間半ほど。チリの南部といっても夏場は暑く、冬には雨が多い地域。「ピノ・ノワール」や「シャルドネ」の生産が多い。
- ピノ・ノワール
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- サンソー
- モスカテル・デ・アレハンドリア
- マルベック
- カベルネ・ソーヴィニヨン
Valle de Malleco(マジェコ・ヴァレー)
こちらの産地はラ アラウカニア州(第9州)の北部に位置する。「アンゴル」という町の近くで、サンティアゴから車で6時間ほど。温暖化によって「より南での栽培」が検討されているが、現時点の主要な産地としては最南端。
- ピノ・ノワール
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- パイス
- リースリング
- ゲヴュルツトラミネール
- マルベック
ワイン用ブドウの作付面積
前章では、各産地の特徴を簡単にお伝えしました。こちらの章では、ブドウの作付面積をご紹介します。データは『ODEPA』の報告書(Boletín de Vino)内にある「2021年の作付面積」を参照しました。本報告書によると、2021 年の総作付面積は【13万ヘクタール】でした。
日本の農林水産省の報告書によると、同年の産水稲(主食用)作付面積は【130万ヘクタール】とのことですので、チリのブドウ作付面積は水稲の『10分の1』となります。
州ごとの作付面積
ブドウの作付面積が一番多い州は「マウレ州」です。マウレ州には「クリコ・ヴァレー」と「マウレ・ヴァレー」の2つの産地がありましたね。
- マウレ州(52,823 ヘクタール)
- オヒギンス州(41,539 ヘクタール)
- 首都圏州(10,559 ヘクタール)
- ニュブレ州(10,370 ヘクタール)
- バルパライソ州(8,658 ヘクタール)
- コキンボ州(3,115 ヘクタール)
- ビオビオ州(2,796 ヘクタール)
- ラ アラウカニア州(107 ヘクタール)
- アタカマ州(55 ヘクタール)
- ロス ラゴス州(19 ヘクタール)
- ロス リオス州(19 ヘクタール)
- アリカ州(15 ヘクタール)
- その他(11 ヘクタール)
ブドウの品種ごとの作付け面積
- カベルネ・ソーヴィニヨン(37,754 ヘクタール)
- ソーヴィニヨン・ブラン(14,316 ヘクタール)
- メルロー(10,819 ヘクタール)
- パイス(10,465 ヘクタール)
- シャルドネ(10,345 ヘクタール)
- カルメネール(10,319 ヘクタール)
- シラー(6,755 ヘクタール)
- モスカテル・デ・アレハンドリア(4,318 ヘクタール)
- ピノ・ノワール(3,910 ヘクタール)
- マルベック(2,469 ヘクタール)
- カベルネ・フラン(1,627 ヘクタール)
- その他(16,990 ヘクタール)
最後に
ワインって敷居が高いイメージありませんか?
僕も最近ワインにハマるまでは、なんか「近寄りがたい印象」を持っていました。でも正直楽しめればいい!それがワインの良いところだと思うんですよね。産地の情報が少しでもイメージできれば、よりワインを楽しめると思います。
チリには主要な産地が14か所あります。縦に細長いチリは、基本的に夏はカラッとした天気が多く、「海沿い」や「山沿い」など同じ緯度でも特色が異なってきます。チリワインを手にしたときには、ぜひ産地の情報を思い出してみてください。