チリワイン

Wines of Chile、チリワインのプレミアム化を目指す

Wines of Chile はチリワインを促進する組織

「Wines of Chile(ワインズ・オブ・チリ)」は、チリワインの品質向上や国際的な知名度向上を促進するために設立されたプロモーション組織です。同組織は、チリの主要ワイン生産者や輸出業者、政府機関などが参加している非営利団体で、チリワインの品質の向上や生産者や消費者間での情報交換、世界中でプロモーションを行っています。

具体的な活動としては、チリワインの品質認証制度の確立や推進、海外でのワインセミナーやワインフェアの開催、チリワインの情報発信や広報活動の実施などがあげられます。また、「Wines of Chile」は、国内外のワイン関連団体との協力関係を築き、チリワインの国際的な認知度向上に取り組んでいます。

同組織は、2002 年に設立され、現在では世界中の主要なワイン市場で活動中です。チリワインの生産量と品質は近年急速に向上し、国際的に高い評価を得ています。この成功の背後には、「Wines of Chile」のようなプロモーション組織の取り組みがあると言えるでしょう。

 

同組織の戦略

ブドウ栽培・ワイン醸造産業がプレミアムワインとサスティナブルなワインを開発し、より多くの生産者がマーケットに参入することで、価格を作り上げていく。

 

同組織の目的
  • 強固なチリのワインメーカーを作ること
  • プレミアム化とサスティナブルという観点でポジショニングすること
  • マーケットへのアクセス提供と、チリアンワイナリーの展開を支援すること

 

Wines of Chile 代表者メッセージ

「Wines of Chile」の代表者のメッセージが、2021年の統合報告書に記載されていました。主なポイントは以下の通りです!

代表者のメッセージ
  • 2021年はチャレンジな1年となったが、難題を乗り越えた
  • ボトルワインの輸出総額が 8.2% 増加(15 億 8800 万ドル、1ケースあたりの平均価格 29.6 ドル)
  • 7つのワイナリーがエノツーリズム認証

 

2021年のマイルストーン

同組織における 2021年のマイルストーンは以下の通りです!

2021年マイルストーン
  • 2021年はオフラインイベントが一部で再開
  • 会員数が 74 社から 83 社に増加
  • 中国向けの販売が回復:同年4月の豪州ワイン値上げの通知を受け、チリワインへの関心が急増
  • アメリカ向けの販売が好調:マーケティングとコミュニケーションの統合プログラム『Sustainability 365』を開催。チリワインの『Luxury Tasting Program』の位置付けに貢献
  • ブラジル向けの販売は、1ケース 40 ドル以上のカテゴリーが 23% 増加、60 ドル以上が 27% 増加:FOB 100 ドル以上のファインワインに限定したプログラムを初開催

 

Wines of Chile 組織図

取締役会と国際委員会、執行役員を軸に組織が運営されています。

 

取締役会
  • Presidente 1名
  • Vice Presidente 1名
  • Tesorero 1名
  • Directores 7名
国際委員会
  • Alejandro Abarca(Viña Terranoble)
  • Matías Garcés(Viña Garcés Silva)
  • Santiago Achurra(Viña Requingua)
  • Matías Rivera(Viña Aresti)
  • Isabel Guilisasti(Viña Concha y Toro)
  • Silvio Rostagno(Viña Odfjell)
取締役会
  • Gerente General 1名
  • Directora Comercial 1名
  • Área Legal 2名
  • Gerente I+D 1名
  • Gerente Capital Humano 1名
  • Departamento de Estudios 1名
  • Wines of Chile(中南米、北米、イギリス、アジア、カナダ)
woc組織図Wines of Chile Summit 2022

 

 

2021年:チリワイン輸出の総評

「2021年は疑う余地もなく厳しい一年だったが、消費に関する指標から回復傾向にあることは明らかだ」と報告しています。特にオントレードにおいては通常に戻りつつあるとのこと。

¿Sabías qué?
  • オントレード:レストランやパブなどでの消費
  • オフトレード:自宅での消費

 

コロナの煽りを受け、ロジスティックの問題が輸出を困難にしていたが、輸出量は 5360 万ケースと 1.1% の増加。輸出額に関しては、15 億 8770 万ドルと 8.2% 増加。

チリワインの「プレミアム化」に成功しつつある!

  • 1ケース 60 ドル以上:量・額ともに 34% 増加
  • 1ケース 50〜60 ドル:量 33.5% 増加、額 35.3% 増加
  • 1ケース 40〜50 ドル:量・額ともに 27% 増加

 

マーケットバリュー TOP10

2021年のチリワイン輸出額ランキングです!日本は第5位。

  1. 中国(2 億 5615 万ドル)
  2. ブラジル(1 億 8380 万ドル)
  3. イギリス(1 億 6644 万ドル)
  4. アメリカ(1 億 4096 万ドル)
  5. 日本(1 億 1856 万ドル)
  6. オランダ(8858 万ドル)
  7. 韓国(7877 万ドル)
  8. カナダ(7624 万ドル)
  9. アイルランド(4206 万ドル)
  10. メキシコ(3986 万ドル)
Market Value ランキング統合報告書2021

 

マーケットボリューム TOP10

2021年のチリワイン輸出量ランキングです!日本は輸出額と同じく第5位。

  1. ブラジル(771 万ケース)
  2. 中国(726 万ケース)
  3. イギリス(597 万ケース)
  4. アメリカ(488 万ケース)
  5. 日本(483 万ケース)
  6. オランダ(296 万ケース)
  7. カナダ(211 万ケース)
  8. 韓国(204 万ケース)
  9. メキシコ(169 万ケース)
  10. アイルランド(142 万ケース)
Market Volume ランキング統合報告書2021

 

 

世界のボトルワイン輸出量

チリは第4位のボトルワイン輸出量を誇ります!

  1. イタリア(12 億 7400 万リットル)
  2. フランス(10 億 2400 万リットル)
  3. スペイン(7 億 8000 万リットル)
  4. チリ(4 億 8900 万リットル)
  5. ドイツ(2 億 6900 万リットル)
  6. ポルトガル(2 億 6100 万リットル)
  7. オーストラリア(2 億 5700 万リットル)
  8. アルゼンチン(2 億 0400 万リットル)
  9. 南アフリカ(1 億 9100 万リットル)
  10. ニュージーランド(1 億 6200 万リットル)
  11. アメリカ(1 億 4900 万リットル)

 

主要輸出国の数量Summit 2022

 

ボトルワイン1ケースあたりの平均価格

こちらに関してはチリは第9位です!さすが、「安くて美味いワイン」として名を馳せているだけありますね。ただ、チリとしてはこの浸透しきったチリワインのイメージを覆し、プレミアムワインを全面的に売り出したいと考えています。

  1. アメリカ(72.0 ドル)
  2. フランス(70.7 ドル)
  3. ニュージーランド(56.8 ドル)
  4. オーストラリア(42.6 ドル)
  5. イタリア(40.7 ドル)
  6. ポルトガル(34.5 ドル)
  7. アルゼンチン(33.9 ドル)
  8. ドイツ(31.0 ドル)
  9. チリ(29.5 ドル)
  10. スペイン(25.5 ドル)
  11. 南アフリカ(23.8 ドル)
主要輸出国の1ケースあたり平均価格Summit 2022

 

アジア向け戦略

チリワインの主要輸出先や、チリワインの輸出量・輸出額などを確認してきました。アジア向けの輸出先で最も大きいマーケットはやはり中国。しかも、今後さらなる成長が期待される市場となっていることから、焦点が当てられています。

日本も輸出量や輸出額において世界第5位と、チリワインにとって重要なマーケットであることには違いありません。しかし、すでに成熟しきっているマーケットとして捉えており、それが同組織の予算配分に表れています。

 

マーケット 1ケース平均価格 予算配分
中国 成長市場 35ドル 80%
日本 成熟市場 24ドル 10%
韓国 成熟市場 38ドル 10%

 

 

Wines of Chile アジアのミッション

同組織アジアチームのミッションは以下5つとなります!

Wines of Chile アジアのミッション
  1. KOL(キーオピニオンリーダー)とメディアを通じて、存在感と影響力を高めること
  2. 戦略的な都市におけるプレミアムワイン関連の活動を継続すること
  3. 貿易と消費者をターゲットにした、力強い宣伝とコンテンツを作成すること
  4. ロードショーやフェアを通じて、販売先として弱い都市を開発すること
  5. ソムリエ協会や個人と共同で活動すること

 

2023年、中国や日本、韓国向けのロードショー開催予定

予算配分でもお分かりの通り、中国へのアプローチが目立ちます!2023年に予定されている日本や韓国向けのイベントはたったの2回だけです。一方、中国向けは講習会なども含め全部で7回。参加ワイナリー数も、中国では最大 45 社が参加する見込みのイベントもあります。会員数が 83 社なので半数以上が関心を示していますね。

中国

プレフェア&CFDF* 3月開催、60ドル以上/ケース、12〜14社参加
大学生向け講習会 4月開催、60ドル以上/ケース、6〜8社参加
第8回ロードショー 5月開催、40ドル以上/ケース、30〜36社参加
Winemaker Exchange 6月開催、60ドル以上/ケース、3社参加
ProWine 上海 11月開催、40ドル以上/ケース、20社参加
92+ 中国 11月開催、60ドル以上/ケース、92pts以上、38〜45社参加
Women in W&S Program 3〜12月開催、60ドル以上/ケース、10〜20社参加

*CFDF:China Food and Drinks Fair の略
*W&S:Wine & Spirits の略

 

日本

92+ 日本 6月開催、60ドル以上/ケース、92pts以上、30社参加
ブラインドテイスティング 7月開催、60ドル以上/ケース、10社参加

 

韓国

ブラインドテイスティング 7月開催、60ドル以上/ケース、10社参加
92+ 韓国 8月開催、60ドル以上/ケース、92pts以上、12〜20社参加

 

 

最後に

日本でも近年はチリワインの「プレミアム化」がトレンドだと伺っています!それでも、これまで3桁だったワインが、ようやく千円台に乗ってきたくらいという印象。個人的な感想ですが、チリで飲む「2千円以上」のチリワインだと、そこそこのクオリティがありますよ。そんなチリワインの写真をインスタにアップしています。ぜひフォローしてくださいね!

 

@moaiswine

 

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参考文献

 

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