チリワイン

チリ農業省農業政策・調査局『ODEPA』ワイン報告書(2023年1月)

『チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)』からワインに関する報告書(2023年1月)が発行されました。

この報告書で 2022 年 12 月までの「チリワインの輸出状況」について、分析された結果が公表されております。

全体的に輸出量も輸出額も前年同期比で【3〜4%弱減】。

それでは詳細を確認していきましょう!

 

2022 年 12 月までのチリワイン輸出状況

2022 年 1〜12 月までの輸出に関しては、以下のような状況となっております。

  • 総輸出量:829,560,000 リットル(前年同期比:▲4.2%
  • 総輸出額:1,897,970,000 ドル(前年同期比:▲3.1%

 

全部で6つのカテゴリーがありますが、原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)やバルクワイン、スパークリングワインの3つのカテゴリーの内訳は以下となります。

 

原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)

  • D.O. 輸出量:443,700,000 リットル(前年同期比:▲1.0%
  • D.O. 輸出額:1,459,300,000 ドル(前年同期比:▲3.1%

 

バルクワイン

  • 輸出量:322,900,000 リットル(前年同期比:▲8.5%
  • 輸出額:299,200,000 ドル(前年同期比:▲3.1%

 

スパークリングワイン

  • 輸出量:3,900,000 リットル(前年同期比:+9.2%
  • 輸出額:15,500,000 ドル(前年同期比:+6.7%

 

価格帯別の輸出量&輸出額

原産地呼称(D.O.)ワイン

2022 年の「D.O. ワイン輸出」に関して、1ケースあたり* の価格帯別の情報が出ています。輸出総額が一番大きい価格帯は「20ドル以上30ドル未満」のワインで、全体の【33%】を占めています。

*1ケース:9リットル(750mlのボトルが12本)

ODEPA:Boletín del Vino 2023.01

 

 

その他の考察としては、ケースあたりの平均単価は「100 ドル以上」のカテゴリーを除き、昨年対比で【-0.3 〜 +0.5 ドル】の幅で動いているだけです。「100 ドル以上」のカテゴリーに関しては、昨年から1ケースあたり平均単価が 5.8 ドル下がっています。

 

20ドル未満:

  • 輸出量:14,900,000 ケース(2021 年:13,800,000 ケース)
  • 輸出額:260,800,000 ドル(2021 年:234,600,000 ドル)
  • 平均単価:17.5 ドル/ケース(2021 年:17.0 ドル/ケース)

 

20ドル以上30ドル未満:

  • 輸出量:20,500,000 ケース(2021 年:21,100,000 ケース)
  • 輸出額:481,200,000 ドル(2021 年:501,900,000 ドル)
  • 平均単価:23.5 ドル/ケース(2021 年:23.8 ドル/ケース)

 

30ドル以上40ドル未満:

  • 輸出量:7,300,000 ケース(2021 年:7,600,000 ケース)
  • 輸出額:250,600,000 ドル(2021 年:263,200,000 ドル)
  • 平均単価:34.3 ドル/ケース(2021 年:34.6 ドル/ケース)

 

40ドル以上60ドル未満:

  • 輸出量:4,200,000 ケース(2021 年:4,900,000 ケース)
  • 輸出額:193,700,000 ドル(2021 年:226,900,000 ドル)
  • 平均単価:46.1 ドル/ケース(2021 年:46.3 ドル/ケース)

 

60ドル以上100ドル未満:

  • 輸出量:1,800,000 ケース(2021 年:1,800,000 ケース)
  • 輸出額:134,200,000 ドル(2021 年:134,800,000 ドル)
  • 平均単価:74.6 ドル/ケース(2021 年:74.9 ドル/ケース)

 

100ドル以上:

  • 輸出量:600,000 ケース(2021 年:600,000 ケース)
  • 輸出額:138,900,000 ドル(2021 年:142,400,000 ドル)
  • 平均単価:231.5 ドル/ケース(2021 年:237.3 ドル/ケース)

 

 

バルクワイン

「バルクワインの価格帯」については以下の通りとなります。輸出総額が一番大きい価格帯は「1リットルあたり0.8ドル未満」のワインで、全体の【33%】を占めています。

ODEPA:Boletín del Vino 2023.01

 

 

気づいた点が2点あります。

  1. リットルあたりの平均単価が上がっていないこと。ほぼ増減がないのですが、『3〜10 ドル』のカテゴリーでは、平均単価が 0.4 ドル近く下がっています。
  2. 『1〜1.5 ドル』のカテゴリーが占める割合が増加したこと。2021 年だと全体の 12% だったのが、2022 年では 26% に増えました。

 

 

0.8ドル未満

  • 輸出量:152,600,000 リットル(2021 年:197,300,000 リットル)
  • 輸出額:99,700,000 ドル(2021 年:131,600,000 ドル)
  • 平均単価:0.65 ドル/リットル(2021 年:0.67 ドル/リットル)

 

0.8ドル以上1ドル未満:

  • 輸出量:74,400,000 リットル(2021 年:99,500,000 リットル)
  • 輸出額:65,000,000 ドル(2021 年:86,400,000 ドル)
  • 平均単価:0.87 ドル/リットル(2021 年:0.87 ドル/リットル)

 

1ドル以上1.5ドル未満:

  • 輸出量:67,300,000 リットル(2021 年:32,200,000 リットル)
  • 輸出額:76,800,000 リットル(2021 年:37,900,000 ドル)
  • 平均単価:1.14 ドル/リットル(2021 年:1.18 ドル/リットル)

 

1.5ドル以上3ドル未満:

  • 輸出量:26,500,000 リットル(2021 年:21,000,000 リットル)
  • 輸出額:50,000,000 ドル(2021 年:40.600.000 ドル)
  • 平均単価:1.89 ドル/リットル(2021 年:1.93 ドル/リットル)

 

3ドル以上10ドル未満:

  • 輸出量:2,000,000 リットル(2021 年:3,000,000 リットル)
  • 輸出額:7,400,000 ドル(2021 年:12.200.000 ドル)
  • 平均単価:3.70 ドル/リットル(2021 年:4.07 ドル/リットル)

 

10ドル以上:

  • 輸出量:ほぼ実績なし
  • 輸出額:ほぼ実績なし

 

ブドウの品種別

「ブドウの品種ごと」の輸出量や輸出額を確認してみました。

2022 年1月から 12 月までで最も「輸出量」の多い単一品種トップ5は以下となります。【カベルネ・ソーヴィニヨン】がダントツで多いです。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:88,211,000 リットル(5,866,000 リットル)
  2. ソーヴィニヨン・ブラン:42,797,000  リットル(3,098,000 リットル)
  3. シャルドネ:38,362,000 リットル(3,399,000 リットル)
  4. メルロー:32,824,000リットル(1912,000 リットル)
  5. カルメネール:29,584,000リットル(1,814,000 リットル)

 

前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。

増加

  1. シュナン・ブラン:+75.2%
  2. カベルネ・フラン:+30.8%
  3. リースリング+ヴィオニエ:+21.1%

減少

  1. ペドロ・ヒメネス:▲18.0%
  2. シラー:▲12.2%
  3. マルベック:▲11.5%

 

 

2022 年1月から 12 月までで最も「輸出額(FOB)」の多い単一品種トップ5は以下となります。輸出量と異なり、メルローとカルメネールの順位が前後しています。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:309,956,000 ドル(22,029,000 ドル)
  2. ソーヴィニヨン・ブラン:122,578,000 ドル(8,881,000 ドル)
  3. シャルドネ:117,252,000 ドル(10,303,000 ドル)
  4. カルメネール:101,584,000ドル(6,093,000 ドル)
  5. メルロー:90,120,000ドル(5,422,000 ドル)

 

前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。

増加

  1. シュナン・ブラン:+72.7%
  2. カベルネ・フラン:+31.5%
  3. ペドロ・ヒメネス:+29.9%

減少

  1. マルベック:▲15.6%
  2. シラー:▲12.7%
  3. ピノ・ブラン:▲8.0%

 

輸出先別

次に「輸出先別」にみた輸出量や輸出額の情報となります。

D.O. ワイン、バルクワイン、スパークリングワインの順です。

 

D.O. ワイン

2022 年1月から 12 月までで、「D.O. ワイン」の輸出量が多い国のランキングです。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. ブラジル:65,512,000 リットル(4,413,000 リットル)
  2. 中国:57,884,000 リットル(3,297,000 リットル)
  3. イギリス:44,353,000 リットル(2,263,000 リットル)
  4. 日本:43,476,000 リットル(4,579,000 リットル)
  5. アメリカ:27,407,000 リットル(2,141,000 リットル)

増加

  1. メキシコ:+28.8%
  2. アイルランド:+19.8%
  3. 日本:+4.4%

減少

  1. 韓国:▲25.4%
  2. イギリス:▲16.9%
  3. アメリカ:▲14.0%

 

2022 年1月から 12 月までで、「D.O. ワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. 中国:225,231,000 ドル(13,436,000 ドル)
  2. ブラジル:179,492,000 ドル(11,986,000 ドル)
  3. イギリス:130,105,000 ドル(6,977,000 ドル)
  4. 日本:122,626,000 ドル(14,197,000 ドル)
  5. アメリカ:110,303,000 ドル(9,356,000 ドル)

増加

  1. メキシコ:+33%
  2. 日本:+7%
  3. アイルランド:+2%

減少

  1. イギリス:▲21%
  2. 韓国:▲16%
  3. 中国:▲10%

 

バルクワイン

2022 年1月から 12 月までで、「バルクワイン」の輸出量が多い国のランキングです。【メキシコ】への輸出が伸びているのが顕著ですね。

 

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. アメリカ:81,117,000 リットル(3,070,000 リットル)
  2. 中国:71,896,000 リットル(4,656,000 リットル)
  3. イギリス:67,674,000 リットル(3,902,000 リットル)
  4. ドイツ:23,214,000 リットル(1,776,000 リットル)
  5. 日本:18,916,000 リットル(1,384,000 リットル)

増加

  1. メキシコ:+290%
  2. 中国:+25%
  3. フランス:+22%

減少

  1. スペイン:▲42%
  2. アメリカ:▲38%
  3. カナダ:▲32%

 

2022 年1月から 12 月までで「バルクワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. イギリス:70,848,000 ドル(4,161,000 ドル)
  2. アメリカ:69,951,000 ドル(2,851,000 ドル)
  3. 中国:68,952,000 ドル(3,328,000 ドル)
  4. ドイツ:19,353,000 ドル(1,358,000 ドル)
  5. 日本:15,078,000 ドル(1,121,000 ドル)

増加

  1. メキシコ:+406%
  2. フランス:+30%
  3. 中国:+25%

減少

  1. アメリカ:▲31%
  2. スペイン:▲27%
  3. カナダ:▲22%

 

スパークリング

2022 年1月から 12 月時点で「スパークリング」の輸出量が多い国のランキングです。【日本】がダントツだという事実を知りませんでした。同地域である南米諸国の成長が著しいですね。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. 日本:1,498,000 リットル(99,000 リットル)
  2. コロンビア:552,000 リットル(19,000 リットル)
  3. ブラジル:468,000 リットル(37,000 リットル)
  4. 韓国:173,000 リットル(14,000 リットル)
  5. コスタリカ:136,000 リットル(5,000 リットル)

増加

  1. パナマ:+180%
  2. コスタリカ:+103%
  3. コロンビア:+92%

減少

  1. 韓国:▲49%
  2. 米国:▲33%
  3. オランダ:▲29%

 

2022 年1月から 12 月時点での、「スパークリング」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

( )内は「12 月単体」の数字となります。

  1. 日本:6,364,000 ドル(449,000 ドル)
  2. コロンビア:2,062,000 ドル(64,000 ドル)
  3. ブラジル:1,305,000 ドル(112,000 ドル)
  4. 韓国:777,000 ドル(64,000 ドル)
  5. コスタリカ:473,000 ドル(22,000 ドル)

増加

  1. コスタリカ:+90%
  2. コロンビア:+89%
  3. メキシコ:+88%

減少

  1. 韓国:▲45%
  2. オランダ:▲33%
  3. カナダ:▲23%

 

品種別生産量

最後に品種別の「生産量」です。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:340,922,000リットル
  2. ソービニヨン・ブラン:141,061,000リットル
  3. メルロー:123,223,000リットル
  4. シャルドネ:104,103,000リットル
  5. カルメネール:88,431,000リットル
  6. シラー:61,230,000リットル
  7. ペドロ・ヒメネス:31,495,000リットル
  8. ピノ・ノワール:26,947,000リットル
  9. マルベック:25,691,000リットル
  10. パイス:15,947,000リットル
  11. モスカテル:11,990,000リットル
ODEPA: Boletin del Vino 2022.11

 

最後に

これまでは何気なく飲んでいたワイン。当然ながらワイン産業は、チリの主要産業の一つなので、きちんとしたデータが当局から発行されております。こういった数字を眺めながら、ワインを飲むのも楽しいかもしれません笑。

2022 年を見ると全体的に輸出量および輸出額ともに落ち込んでおりますね。チリは 2023 年の方がより不景気になると言われています。今年の動向に注意ですね!

またチリワインにおける日本のマーケットがまだ成長していますね。もっとチリワインの知名度を上げれるように頑張っていきます!今年のサクラアワードの審査結果が待ち遠しスギて、以下のブログ記事を書いてしまいました。ぜひ、目を通して、あなたの好きなチリワインを見つけてくださいね。

 

【必見!】「サクラアワード2022」で選ばれたチリワイン完全ガイド「チリワインが美味しい」ってよく聞くけど、正直どのワインを選べばいいのか分からない。なんて思っている方が多いという印象を受けます。ハズレ...

 

 

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