本記事の内容
- チリの社会保障には4つのカテゴリーがある
- 健康保険、年金保険、失業保険、労災保険の概要説明
- 健康保険と年金保険は免除しているケースとは
本記事の信頼性
- 南米チリ在住6年目の純日本人男性
- チリ人女性と国際結婚、1児のパパ
- 企業戦士を支える立場で絶賛活動中
- 絶望から這い上がろうと日々奮闘中
正直、日本で勤務していた時は社会保障で控除される金額もろくに把握していなかったタイプの人間です。
周りにもそんな友人や知人はいたので、僕だけではないはずです!
と胸を張って言えることではありませんが笑。
チリに来て難しかったのは、(特に自国における政治・経済の知識が不十分な状態での)こちらの制度などを理解すること。
ベースの知識がないと比較して理解していくことも難しいですよね。
特に自分のケースでは社会保障制度を理解するのに時間がかかりました。
最初に働いていたところでは給料手渡し、明細書についてはあまり記憶に残っていません。
それほど生活することに必死だったんだと思います。
僕がチリに到着してから苦労したことを以下の記事にまとめています。
続きは編集後記で
健康保険のFONASAとISAPRE
いちばん身近で大事な社会保障は健康保険でしょう。
チリの健康保険は以下のような種類があります。
- FONASA:国営の保険基金
- ISAPRE:民間の保険機関
まず大前提として健康保険の料率は7%となります。
例えば、、
課税所得が50万ペソの場合、支払額は3万5千ペソ
課税所得が100万ペソの場合、支払額は7万ペソ
課税所得が200万ペソの場合、支払額は14万ペソ
多くのFONASA加入者は公立病院や医療センターなどで診察を受けます。
一方、ISAPREは民間で好きなプランに加入することができます。
現時点でチリで加入できるISAPREの一覧は以下の通りです。
ほとんど日本人が入ることはないと思いますが、会社の福利厚生的なISAPREもあります。
Isapre Chuquicamata Ltda.
Isapre Cruz Del Norte Ltda.
Isapre Fundación Ltda.
Isapre Fusat Ltda.
Isapre Río Blanco Ltda.
Isapre San Lorenzo Ltda.
ある情報によると、ISAPREの中で一番安いプランは約110,000ペソだそうです。
掛け金はUF表記となっておりますので、このチリペソ価格は日々変動します。
つまり、現在健康保険料として11万ペソ以上をFONASAに支払っている方がいれば、ISAPREに変える方が良い選択かと思われます。
11万ペソまであともう少しなんだけどな、、という方も不足している差額分は給与天引きで支払えますので、必要だと思う場合は検討されることをオススメします。
どのISAPREが良いかというのは、主に以下の視点で検討するのが良いと思います。
- 会社の経営状況
- 保険の種類
- 保険適用の範囲
- 保険料
- 対象の病院
勤務先によっては、任意保険に加入させてくれるような福利厚生を持っているケースがあったりします。
ちなみに僕の場合は、支払い義務がある課税所得の7%分がちょうど保険料になるようなプランを選択しています。少しだけ差額が発生していますが、まぁぴったりのプランを見つけるのも難しいので仕方がないことですね。
この保険制度には正直悩まされました。
以下の記事に失敗談を残しております。
年金保険のAFP
こちらも労働者であれば必ず支払う事になる社会保障となります。
AFP:年金運用会社(民間)
AFPの税率は課税所得の10%です。
健康保険の方もそうなのですが、納税の上限額が決められています。
2019年:79.2UF
2020年:80.2UF
2020年の上限額を現在のUF換算値(約28,700ペソ)で計算すると、月あたり約192,000ペソとなります。
税率は10%なので、課税所得が月192万ペソ以上の方は明細書に192,000ペソ付近が記載されていると思われます。
AFP Capital:Grupo Sura(哥)
AFP Cuprum:Principal Financial Group(米)
AFP PlanVital:Assicurazioni Generali(伊)
Provida AFP:MetLife(米)
AFP Habitat:Prudential Financial(米)+Cámara Chilena de la Construcción(智)
AFP Modelo:Sonda(智)
AFP Uno:Tanza(智)
保険料率はそれぞれのAFP管理会社によって異なってきます。
あれ、10%じゃないの?という疑問が生まれると思いますが、0.69%から1.44%は管理会社のコミッションらしいです。
雇用契約を締結している労働者はSISと呼ばれる傷害保険も支払う必要があります。
上記の表では1.53%となっております。
社会保障に関する指標というのは以下のリンクから確認いただけます。
どのように選択するのか?という質問が出そうですが、素直にこれは分かりません!笑
ただ各AFPでは以下のような5つの選択肢があります。
これは必ず加入しないといけないのですが、自分のケースでは当時の元上司に勧められるままに入ったものになります。
今思えばきちんと選択しても良かったのかもしれませんが、答えの分からないものに悩まない性格ですので進めてしまいました。
特に移住するつもりもなく、年金なんて受け取らないだろうという気持ちでしたので適当です。
ちなみに僕は上記の表にあるタイプB(リスクあり)を選択しています。
まぁあまり期待していないので良いでしょう。
2016年から「No+ AFP」という社会運動も起きております。
チリでは上記にあげている民間の年金管理会社しか選択ができません。
きちんと運用されて手元に戻ってくる金額が満足いくものであれば市民も不満ではないのでしょうが、そうではないみたいですね。
反対派の主張は以下のリンクに記載されています。
余談ですが、今はコロナウイルスの影響で不況です。
失業率も高くなっているチリですが、政府の中でこのAFPの一部引き出しに関する法案が出ております。国民から不評のシステムですが、この法案が成立すると歴史的なマイルストーンとなりそうです。
失業保険のAFC
失業保険はAFCという失業保険運営会社が管理しています。
こちらも公的機関ではなく、民間の会社が運営しています。
2002年から始まった制度で、運営会社は入札で決まり、運営期間は10年間となっております。
こちらの保険料率は課税所得の3%となっております。
雇用主が2.4%支払ってくれて、被雇用者は0.6%となっております。
給料明細には Seguro de Cesantía か Seguro de Desempleo というような書き方で表記されていると思います。
労災保険
労災保険には以下4つの管理組織があります。
Asociación Chilena de Seguridad(ACHS)
Mutual de Seguridad(MUTUAL)
一番下のISLだけが公的機関で、その他は民間労災保険会社となります。
以下のような仕組みで雇用主が保険料を支払います。
- ベース:課税所得の0.90%
- 追加:課税所得の上限3.4%(業態などによる)
したがって、これは被雇用者は支払っておりません。
通勤中や労働中にケガをしてしまった場合、こういった機関で診察してもらうことができます。
通勤中や帰宅中は寄り道すると保険が適用されないみたいなので、気をつけましょう!
外国人向けの社会保険免除
ここまで4種類の社会保障について記載してきましたが、
もしかしたら「あれ?給料から差し引かれていないぞ?」と思われる方がいるかもしれません。
日本から駐在員として派遣される方の多くは社会保険の免除を適用していると思われます。
ただ条件があって基準を満たしている外国人となっております。
とはいえ、皆さんクリアされているとは思いますが。
免除の対象は以下2つの社会保障です。
- 健康保険
- 年金保険
-
技術者や専門職であること
-
外国で社会保険制度に加入していること
-
上記2点を労働契約書内で表明していること
といったものになります。
一つ目のポイントはあまり定義が明確ではありません。
ただ知っている限りでは技術者ではなく、事務系でも適用されているケースがほとんどです。
編集後記
給料手渡しで明細は覚えていない、という話でしたね。
給料手渡しの理由は、
自分が銀行口座を所有していなかった
からなんですけどね。
それにしても大金ではないけど、
札の枚数は多かったので、
給料日は地下鉄で帰宅するのが怖かったですね。
ビシッと決めたスーツの内ポケットに忍ばす、茶封筒ですよ。
転職したのをきっかけに
ようやく銀行口座を開けたという
無計画っぷりが情けないですね。
でも初めて来る国で、
言葉もままならない状態で、
全て完璧に準備できる方が逆に素晴らしいですよね。
僕はこのような経験(特に失敗談)を
これから海外移住を考えられている方に
お伝えしたいと思っているんです。
自分のバカっぷりを披露するので恥ずかしさもありますが。
まぁそれはそれで良いかなと。
それで転職してからは
銀行に振り込んでもらっているんですけど、
一応給与明細を確認する癖がついたんですよね。
これは業務で経理アシスタントも
少しかじらせてもらったことが影響しています。
今まで出入金管理がざるだったのですが、
さすがに業務上ではそういうわけにもいかず。
意外と几帳面な性格が掘り起こされてきたんですよね。
給与明細を眺めていると、
やはり気になるのは控除額。
何故、こんなに引かれるのだ!
全体で総額の25%ぐらいは引かれているんですよ。
税金で持っていかれすぎですよね。
そういった経緯から、
社会保障について少し調べるようになりました。
人生って何が起こるか分からず、
ひょんなことから大きく変わることってありますね。
今まで全く気にしていなかったのに、
それがきっかけで気にし始めるんだから。
ちなみに僕の家族は Masvida という
ISAPREに入っていましたが、
確か2017年後半ぐらいに経営が危うかったんですよね。
それで Consalud というISAPREに変えました。
最終的には Nexus という会社が
経営を立て直してMasvidaは生まれ変わっています。
自分は医療費が高いClinica Alemanaや
Clinica Las Condesで診察することは滅多にないので、
その負担率が良いISAPREを選択する必要がありません。
代わりに妻と子供向けの任意保険に加入しています。
その任意保険に加入していると、
Clinica Las Condes のUrgencia(救急外来)のみ、
診察費が無料なんです。
かなり大きいですよね!
1ヶ月に3千円ぐらいの掛け金で、
これまでに数回利用しています。
特にチビ助が乳児の時は体調を崩すとすぐに運んでいました。
昨年も友人の誕生日パーティーでやらかしました。
遊具で遊んでいた時にこけて
頭から流血してしまったので連れて行きましたね。
そういった情報も最初は知らないですよね。
僕は国際結婚をしていて、
チリ人妻がそういったことを調べてくれるので助かっています。
せっかく愛する祖国を出て外国で生活しているのですから、
みんなで楽しんで生きていきましょう!
本記事のまとめ
- チリの社会保障には以下の4つのカテゴリーがありました
- 健康保険、年金保険、失業保険、労災保険
- 健康保険と年金保険は免除しているケース:外国人向けの免除を適用
このブログではチリ生活や海外生活について発信しております。
ぜひ以下の記事ものぞいてみてください。
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