チリワイン

今やチリワインの代名詞!1994年に再発見された「カルメネール」

1994年に再発見された「カルメネール」

わずか25年足らずの間に、チリカルメネールは急激な変貌を遂げた。1994年に発見されて以来、カルメネールは困難な発展期を経験してきた。近年、チリのカルメネールは、この注目に値するユニークな品種をワインメーカーが使いこなすようになり、頭角を表すようになった。

 

フランスのボルドーを原産の地とする「カルメネール」は、1800年代半ばにフィロキセラが発生した後、ボルドーから姿を消した。1994年11月、フランス人ブドウ品種学者Jean-Michel Boursiquot氏がチリを訪れるまでは、事実上絶滅したと考えられていた。

ブドウ品種学者:ampelógrofo

 

モアイ兄弟
モアイ兄弟
具体的には1860年にフィロキセラが発生したとのこと。

Hasta 1859 el Carménère se producía únicamente en los terroirs de Burdeos, en Francia, pero siempre fue considerada como una cepa muy propensa a los ataques de diferentes plagas. Al año siguiente, en 1860, un parásito de la vid llamado Filoxera la contaminó y provocó su extinción.

Diario Financiero

 

Jean-Michel Boursiquot氏が、マイポ・ヴァレーにあるブドウ畑を歩いていたとき、いくつかの「メルロ」の木に微妙な違い(正確には、ねじれた雄しべ)があることに気づいた。このことから、このブドウの木は、実は長い間姿を消していた「カルメネール」という品種であることがわかった。

 

そのブドウ畑は特別なものではなかった。カルメネールは150年近く前から、知らず知らずのうちにチリのワイン産地全体に植えられていたのだ。カルメネールは、1850年代にボルドーから船荷とともにチリに到着した。そして “メルロー”としてチリ中に植えられていた。

 

フランス人ブドウ品種学者Jean-Michel Boursiquotの発見により、チリは突然、100年以上もの間、誰も知らずに醸造していた品種「カルメネール」の中心地となった。

 

チリ人にとってカルメネールの発見は驚きではなかった。「なにか少し違うことを認識しており “merlot chileno(メルロ・チレーノ)”と呼んでいた。発見後、メルロなのか、カルメネールなのかを調べるために、長い時間をかけてプロファイリングが行われた」と、ワインメーカーのSebastián Labbé(セバスティアン・ラッベ)が言う。

 

「我々はカルメネールとしてワインを輸出したかったが、当初は不可能に近かった」とカルメネールを初めて輸出したワインメーカーのMarco De Martino(マルコ・デ・マルティーノ)氏は言う。「カルメネールという品種はチリで法的に認められていなかったので、政府はラベルにカルメネールと書いて輸出することを許してくれなかった。」

 

「政府がカルメネールという品種で輸出許可を出してくれなかったので、カルメネールという品種の法的登録ができるまでは、”Cuvée Carmenere”というようなラベルを使わなければならなかった」とMarco De Martino氏は言う。

 

カルメネールは「Santa Rita(サンタ・リタ)」と「Viña Carmen(ヴィーニャ・カルメン)」で発見された。その後、メルロのボトリング名を、19世紀にボルドーで使われていたカルメネールの代名詞である『Grand Vidure』に改名。しかし、業界全体が “メルロ・チレーノ”という新しいアイデンティティを受け入れるには、しばらく時間がかかった。

 

当時、新しい品種のカルメネールを受け入れるワイナリーもあったが、否定的なワイナリーも多かった。メルロの方がカルメネールよりも儲かり、国際的にも魅力的だったから。一部のワイナリーは、2000年代初頭まで、カルメネールを “メルロ”として瓶詰めし続けた。

 

1997年の国勢調査によると、この品種の登録はわずか815エーカー(1エーカー=1200坪)。現在では26,760エーカーにまで達している。カルメネールの存在感が増すにつれ、ワインメーカーたちは「カルメネールとは何か、どのように味わうべきか」という課題に直面するようになった。

 

TerranobleのMarcelo García(マルセロ・ガルシーア)氏は「カルメネールを造り始めた当初は、それがカルメネールだとわかっていても、どうやって造ったらいいのかわからなかった」と言う。マウレ・ヴァレーにある彼らの農地では、メルロと思われていたブドウの木の半分以上がカルメネールであることが判明した。

 

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Sebastián Labbé氏は「数年間、カルメネールの栽培を経験して、ブドウ畑での扱い方を学び始めた。これまでは、メルロと同じ水量(生育期には週に1回程度)で灌漑していたが、カルメネールに必要な水量はもっと少なく、月に1回以下であることを学んだ」と語る。

 

メルロとカルメネールの水量の違いは、当時よくあった過ち。その結果、樹勢が強くなりすぎて、カルメネールのワインにありがちな青臭さが出てしまった。そのため、ワインメーカーは解決策を模索するようになった。

 

Viña Errazuriz(ヴィーニャ・エラスリス)のFrancisco Baettig(フランシスコ・ベティッグ)氏は「青臭い風味があったので、葉をたくさんむしり、無理やり成熟させようと収穫を遅らせた。その結果、2000年代初頭には、ハラペーニョの青臭さと、熟したジャムのような果実味の両方を併せ持つワインになった」と言う。

 

カルメネールの新しいアイデンティティの鍵となったのは、灌漑と畑の管理方法の変更だけでなく、果実そのものの熟成度である。

 

Baettig氏は「以前は5月にカルメネールを収穫し、アルコール度数を15%にしていたが、それでもアーティチョークのような植物的な香りが残っていた。今日は典型的なスパイシーさはあるものの、青臭さはない」と語った。

 

近頃のカルメネールのワインは、ますますバランスが取れ、フレッシュで香り高いものとなっている。これは、メルロが最も適している重い粘土質の土壌ではなく、より痩せた岩の多い土壌と、カルメネールに適切な場所を見つけたおかげでもある。

 

カルメネールの生産にとってよい土地は、

  • Apalta(アパルタ)
  • Marchigüe(マルチグエ)
  • Peumo(ペウモ)
  • Maipo Andes(マイポ・アンデス)

などがあげられる。

 

カルメネールを熱心に支持するワインメーカーは、

  • Santa Rita(サンタ・リタ)
  • Carmen(カルメン)
  • Undurraga(ウンドゥラガ)
  • Errazuriz(エラスリス)
  • De Martino(デ・マルティーノ)
  • Tabalí(タバリ)
  • Bouchon(ブション)

などがあげられる。

 

Tabalí(タバリ)のFelipe Muller(フェリペ・ムジェール)氏は「カルメネールのワイン造りにおいても、より高いバランスが達成されている。ジューシーな味わいにするために、タンニンを抽出することなく、アロマと色を出すために低温浸漬(低温マセラシオン)を行う」と語る。同氏はペウモで『micas』を造る。

 

 

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カルメネールは長年メルロと混同されてきたけど、実は「カベルネ・フラン」とスタイルが似ている。同品種がボルドーの新たな寵児として台頭してきた今、カルメネールが日の目を浴びる時が来たのかもしれない。カルメネールは、スタイルを先取りしているだけでなく、気候の変化にも有利に働く可能性がある。

 

Bouchon(ブション)のChristian Sepúlveda(クリスティアン・セプールベダ)氏は「カルメネールは、おそらく干ばつに最も耐えるボルドー品種だろう。だから、我々のボルドーブレンド『mingre』には、ここ数年カルメネールを多く使っている」と話した。

 

 

参考文献

Wine Enthusiast:Rediscovering Chilean Carmenère

Diario Financiero:Jean-Michel Boursiquot, el francés que revivió el Carménère vuelve a Chile

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