チリワイン

チリ農業省『ODEPA』ワイン報告書(2023年3月)

『チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)』からワインに関する報告書(2023年3月)が発行されました。

この報告書で、2023年2月の「チリワインの輸出状況」について、分析された結果が公表されております。

全体的に輸出量も輸出額も前年同期比で【15〜18%減】。

それでは詳細を確認していきましょう!

 

2023年2月のチリワイン輸出状況

2023年2月までの輸出に関しては、以下のような状況となっております。

  • 総輸出量:105,700,000 リットル(前年同期比:▲18.3%
  • 総輸出額:227,000,000 ドル(前年同期比:▲18.1%

 

全部で6つのカテゴリーがありますが、原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)やバルクワイン、スパークリングワインの3つのカテゴリーの内訳は以下となります。

 

原産地呼称(D.O.:Denominación de Origen)

  • D.O. 輸出量:22,600,000 リットル(前年同期比:▲15.4%
  • D.O. 輸出額:71,600,000 ドル(前年同期比:▲20.8%

 

バルクワイン

  • 輸出量:20,100,000 リットル(前年同期比:▲26.9%
  • 輸出額:17,800,000 ドル(前年同期比:▲29.2%

 

スパークリングワイン

  • 輸出量:100,000 リットル(前年同期比:▲48.9%
  • 輸出額:500,000 ドル(前年同期比:▲36.4%

 

価格帯別の輸出量&輸出額(今回は変更点なし)

原産地呼称(D.O.)ワイン

2022 年の「D.O. ワイン輸出」に関して、1ケースあたり* の価格帯別の情報が出ています。輸出総額が一番大きい価格帯は「20ドル以上30ドル未満」のワインで、全体の【33%】を占めています。

*1ケース:9リットル(750mlのボトルが12本)

ODEPA:Boletín del Vino 2023.01

 

 

その他の考察としては、ケースあたりの平均単価は「100 ドル以上」のカテゴリーを除き、昨年対比で【-0.3 〜 +0.5 ドル】の幅で動いているだけです。「100 ドル以上」のカテゴリーに関しては、昨年から1ケースあたり平均単価が 5.8 ドル下がっています。

 

20ドル未満:

  • 輸出量:14,900,000 ケース(2021 年:13,800,000 ケース)
  • 輸出額:260,800,000 ドル(2021 年:234,600,000 ドル)
  • 平均単価:17.5 ドル/ケース(2021 年:17.0 ドル/ケース)

 

20ドル以上30ドル未満:

  • 輸出量:20,500,000 ケース(2021 年:21,100,000 ケース)
  • 輸出額:481,200,000 ドル(2021 年:501,900,000 ドル)
  • 平均単価:23.5 ドル/ケース(2021 年:23.8 ドル/ケース)

 

30ドル以上40ドル未満:

  • 輸出量:7,300,000 ケース(2021 年:7,600,000 ケース)
  • 輸出額:250,600,000 ドル(2021 年:263,200,000 ドル)
  • 平均単価:34.3 ドル/ケース(2021 年:34.6 ドル/ケース)

 

40ドル以上60ドル未満:

  • 輸出量:4,200,000 ケース(2021 年:4,900,000 ケース)
  • 輸出額:193,700,000 ドル(2021 年:226,900,000 ドル)
  • 平均単価:46.1 ドル/ケース(2021 年:46.3 ドル/ケース)

 

60ドル以上100ドル未満:

  • 輸出量:1,800,000 ケース(2021 年:1,800,000 ケース)
  • 輸出額:134,200,000 ドル(2021 年:134,800,000 ドル)
  • 平均単価:74.6 ドル/ケース(2021 年:74.9 ドル/ケース)

 

100ドル以上:

  • 輸出量:600,000 ケース(2021 年:600,000 ケース)
  • 輸出額:138,900,000 ドル(2021 年:142,400,000 ドル)
  • 平均単価:231.5 ドル/ケース(2021 年:237.3 ドル/ケース)

 

 

バルクワイン

「バルクワインの価格帯」については以下の通りとなります。輸出総額が一番大きい価格帯は「1リットルあたり0.8ドル未満」のワインで、全体の【33%】を占めています。

ODEPA:Boletín del Vino 2023.01

 

 

気づいた点が2点あります。

  1. リットルあたりの平均単価が上がっていないこと。ほぼ増減がないのですが、『3〜10 ドル』のカテゴリーでは、平均単価が 0.4 ドル近く下がっています。
  2. 『1〜1.5 ドル』のカテゴリーが占める割合が増加したこと。2021 年だと全体の 12% だったのが、2022 年では 26% に増えました。

 

 

0.8ドル未満

  • 輸出量:152,600,000 リットル(2021 年:197,300,000 リットル)
  • 輸出額:99,700,000 ドル(2021 年:131,600,000 ドル)
  • 平均単価:0.65 ドル/リットル(2021 年:0.67 ドル/リットル)

 

0.8ドル以上1ドル未満:

  • 輸出量:74,400,000 リットル(2021 年:99,500,000 リットル)
  • 輸出額:65,000,000 ドル(2021 年:86,400,000 ドル)
  • 平均単価:0.87 ドル/リットル(2021 年:0.87 ドル/リットル)

 

1ドル以上1.5ドル未満:

  • 輸出量:67,300,000 リットル(2021 年:32,200,000 リットル)
  • 輸出額:76,800,000 リットル(2021 年:37,900,000 ドル)
  • 平均単価:1.14 ドル/リットル(2021 年:1.18 ドル/リットル)

 

1.5ドル以上3ドル未満:

  • 輸出量:26,500,000 リットル(2021 年:21,000,000 リットル)
  • 輸出額:50,000,000 ドル(2021 年:40.600.000 ドル)
  • 平均単価:1.89 ドル/リットル(2021 年:1.93 ドル/リットル)

 

3ドル以上10ドル未満:

  • 輸出量:2,000,000 リットル(2021 年:3,000,000 リットル)
  • 輸出額:7,400,000 ドル(2021 年:12.200.000 ドル)
  • 平均単価:3.70 ドル/リットル(2021 年:4.07 ドル/リットル)

 

10ドル以上:

  • 輸出量:ほぼ実績なし
  • 輸出額:ほぼ実績なし

 

ブドウの品種別

「ブドウの品種ごと」の輸出量や輸出額を確認してみました。

2023年2月までの累積で、最も「輸出量」の多い単一品種トップ5は以下となります。【カベルネ・ソーヴィニヨン】がダントツで多いです。

 

( )内は2月単体

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:8,561,000 リットル(3,820,000 リットル)
  2. シャルドネ:4,416,000 リットル(1,846,000 リットル)
  3. ソーヴィニヨン・ブラン:4,278,000  リットル(1,956,000 リットル)
  4. メルロ:3,181,000リットル(1,458,000 リットル)
  5. カルメネール:1,759,000リットル(1,373,000 リットル)

 

前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。

増加

  1. リースリング・ヴィオニエ:+13.2%
  2. ピノ・ブラン:+11.4%

減少

  1. ペドロ・ヒメネス:▲73.4%
  2. シラー:▲43.6%
  3. ピノ・ノワール:▲38.4%

 

 

2023年2月までの累積で、最も「輸出額(FOB)」の多い単一品種トップ5は以下となります。

 

( )内は2月単体

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:29,652,000 ドル(12,254,000 ドル)
  2. シャルドネ:13,766,000 ドル(5,837,000 ドル)
  3. カルメネール:12,451,000ドル(5,064,000 ドル)
  4. ソーヴィニヨン・ブラン:11,964,000 ドル(5,587,000 ドル)
  5. メルロ:8,402,000ドル(3,870,000 ドル)

 

前年対比で輸出量の変動が大きい品種は以下の通りです。

増加

  1. なし

減少

  1. ペドロ・ヒメネス:▲85.9%
  2. カベルネ・フラン:▲49.5%
  3. カベルネ・ソーヴィニヨン:▲38.2%

 

輸出先別

次に「輸出先別」にみた輸出量や輸出額の情報となります。

D.O. ワイン、バルクワイン、スパークリングワインの順です。

 

D.O. ワイン

2023年2月までの累積で、「D.O. ワイン」の輸出量が多い国のランキングです。

( )内は2月単体

  1. ブラジル:7,247,000 リットル(3,589,000 リットル)
  2. 日本:6,374,000 リットル(2,691,000 リットル)
  3. イギリス:3,995,000 リットル(1,735,000 リットル)
  4. 中国:3,702,000 リットル(1,608,000 リットル)
  5. アメリカ:3,581,000 リットル(1,574,000 リットル)

2月単体でも、ブラジル向けが堅調で、前月1位だった日本を抜き首位へ

 

増加

  1. ドイツ:+80.7%
  2. オランダ:+15.5%
  3. 韓国:+5.6%

減少

  1. 中国:▲59.9%
  2. カナダ:▲51.3%
  3. メキシコ:▲20.2%

 

2023年2月までの累積で、「D.O. ワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

( )内は2月単体

  1. ブラジル:20,873,000 ドル(9,699,000 ドル)
  2. 日本:17,379,000 ドル(7,521,000 ドル)
  3. 中国:16,325,000 ドル(6,427,000 ドル)
  4. アメリカ:13,762,000 ドル(5,774,000 ドル)
  5. イギリス:11,596,000 ドル(4,877,000 ドル)

 

増加

  1. ドイツ:+70.1%
  2. ブラジル:+17.2%
  3. オランダ:+16%

減少

  1. 中国:▲55.5%
  2. カナダ:▲54.9%
  3. イギリス:▲50.5%

 

バルクワイン

2023年2月までの累積で、「バルクワイン」の輸出量が多い国のランキングです。

( )内は2月単体

  1. 中国:14,203,000 リットル(3,616,000 リットル)
  2. イギリス:8,640,000 リットル(3,830,000 リットル)
  3. アメリカ:6,947,000 リットル(2,833,000 リットル)
  4. 日本:3,736,000 リットル(1,772,000 リットル)
  5. ドイツ:3,168,000 リットル(1,560,000 リットル)

 

増加

  1. ベルギー:+153.8%
  2. メキシコ:+94.4%
  3. カナダ:+94.4%

減少

  1. アメリカ:▲64.9%
  2. ドイツ:▲27.1%
  3. イギリス:▲20.5%

 

2023年2月までの累積で、「バルクワイン」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

( )内は2月単体

  1. 中国:12,431,000 ドル(1,785,000 ドル)
  2. イギリス:10,499,000 ドル(4,420,000 ドル)
  3. アメリカ:6,676,000 ドル(2,883,000 ドル)
  4. 日本:3,046,000 ドル(1,484,000 ドル)
  5. ドイツ:2,535,000 ドル(913,000 ドル)

増加

  1. ベルギー:+169.3%
  2. カナダ:+104.2%
  3. 日本:+17.1%

減少

  1. アメリカ:▲56.1%
  2. ドイツ:▲32.5%
  3. メキシコ:▲11.1%

 

スパークリング

2023年2月までの累積で、「スパークリング」の輸出量が多い国のランキングです。

( )内は2月単体

  1. 日本:136,000 リットル(53,000 リットル)
  2. ブラジル:33,000 リットル(10,000 リットル)
  3. 韓国:22,000 リットル(NA)
  4. アメリカ:20,000 リットル(1,000 リットル)
  5. キプロス:9,000 リットル(0 リットル)

 

増加

  1. 韓国:+450%
  2. デンマーク:+300%
  3. パラグアイ:+100%

減少

  1. オランダ:▲66.7%
  2. ブラジル:▲64.9%
  3. 日本:▲32.7%

 

2023年2月までの累積で、「スパークリング」の輸出額(FOB)が多い国のランキングです。

( )内は2月単体

  1. 日本:604,000 ドル(234,000 ドル)
  2. 韓国:133,000 ドル(NA)
  3. ブラジル:79,000 ドル(23,000 ドル)
  4. アメリカ:78,000 ドル(15,000 ドル)
  5. デンマーク:61,000 ドル(23,000 ドル)

増加

  1. タイ:+2300%
  2. メキシコ:+1550%
  3. 韓国:+638.9%

減少

  1. ブラジル:▲71%
  2. オランダ:▲56.3%
  3. 日本:▲28.5%

 

品種別生産量(変更なし)

最後に品種別の「生産量」です。

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン:340,922,000リットル
  2. ソービニヨン・ブラン:141,061,000リットル
  3. メルロー:123,223,000リットル
  4. シャルドネ:104,103,000リットル
  5. カルメネール:88,431,000リットル
  6. シラー:61,230,000リットル
  7. ペドロ・ヒメネス:31,495,000リットル
  8. ピノ・ノワール:26,947,000リットル
  9. マルベック:25,691,000リットル
  10. パイス:15,947,000リットル
  11. モスカテル:11,990,000リットル
ODEPA: Boletin del Vino 2022.11

 

最後に

先々月に以下のように記載しました。

2022 年を見ると全体的に輸出量および輸出額ともに落ち込んでおりますね。チリは 2023 年の方がより不景気になると言われています。今年の動向に注意ですね!

 

2月までの累積の数字を見ると、「ワイン業界の不景気」が証明され始めているように思えます。

まだ2か月しか経過していないこともあり、前年対比の増減は大きく変動しています。もう少し様子を見ると、その増減も落ち着いてくるのではないでしょうか。

今後も本レポートの内容を確認していきたいと思います!

 

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